ミニマムな彼とアナログな彼女

ピングーとピンガはいつも仲良し

もうすぐ 陽が落ちるね

なんども メールを書きかけて 

消しかける


私は 既読 未読 とか 

見え過ぎる 情報があると 

不安になってしまうので

彼は LINEが 好きかもしれないけれど

やりとりは ケイタイの メールでしている


彼と 私は 4つの地点から 繋がっていて 彼の地元  私の地元  彼の部屋  彼と共通の教室  から 織り成っている


彼との出会いは 冬の ぼんやりした ある日 教室で 偶然 近い席からで


彼は マスクをしていて 童顔 メガネ 黒髪  伏目がちな視線 だった


彼は 花粉症だから マスクをしている と 言っていて 次に何を話そうかと 思っているうちに 次の機会には 彼が 教室を休んでいて


なかなか 会えない彼の 位置づけを 私は 心の中で 観賞用男子 に落ち着かせた


そうすれば このまま 会えなくても 話せなくても 心をやり過ごせるからだ


なぜか 彼の前では 素直になれなくて 彼をからかうことに 意識が集中していた


その時期 私の家族は 病院に通い詰める 日々だったので 私は 一瞬だけでも 緊迫した 現実から それて 普通のやりとりを してみたかったのかもしれない


教室に いると 小さなガヤガヤした出来事に 左右されてしまうけれど 一歩 教室を離れて 小さな暮らしに 戻ると そこには  お互いの家族と 少し離れた彼の部屋と 私の住まいがあり 2人の心を つなぐように 線路があって 夏から秋を駈けぬけた


日が暮れた 夕方は さみしくて

彼は いま無事かな とか

毎日 気になってしまう

今 彼は 無事なのかな